アマンダおばさんの
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2020年8月
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8月1日(土)

ツバメの巣立ち

数週間前から我が家の駐車場の軒先に巣を暖めていたツバメの雛が飛び立った。
朝な夕なに主人と、「卵は孵ったかな」「今年は何羽だろう」と話題にしては、まるで自分達の子供を育てるようにウキウキと目を輝かせていたものだった。
「見るとどうも1羽らしいよ」と主人。「ええ!1羽なんてことがあるの?いつもは5羽くらい並んでいるのに」と私。
「父さん鳥と母さん鳥が替わりばんこに餌を運んできたら1羽だから肥満児になってしまうんじゃない?重くて飛べなかったりして・・」と言う主人に、お腹を抱えて笑ってしまった。
しかしうまく出来たものだ。つい最近、見ると、近くの電線にツバメの親子が3羽止まっているではないか。「ああ、無事に巣立ちができたんだなあ」と、主人とホッと胸をなで下ろしたのであった。ある記事に「ツバメの死亡率は高く、翌年に戻ってくるのは50%程度である」、との事。「いわばツバメの来訪は環境のバロメーターなのだ」と記されていた。どおりで去年は来なかったなあ、と納得出来た。ツバメが巣に戻って来るのも命がけなんだと思った。
ツバメのためにと、巣の弱い所を補強してくれた主人。生き物に優しい主人に心が和む。周りの環境を変えることは出来ないが、せめてツバメに選んでもらえる穏やかな夫婦であるよう環境を整えたいもの。
最近は巣立ったツバメを喜ぶ反面、「空の巣症候群」に陥っている私達だ。
振り返れば、子育ても同じだったなあと思い出す。4人の子供達に囲まれて賑やかな日々を過ごしていたある日、最初に家を出て行ったのは長男だった。念願の医学部に合格し、そそくさと荷物をまとめて出て行った日の夕方、それまで引っ越しの事ばかり考えて張り詰めていた感情が一気にスーパーで暴露したのだった。もう魚の切り身6人分を買う必要はないんだ。5人分でいいんだ、と思うと思いがけず涙が溢れてきた。子供達にと毎回買っていた食後のヨーグルトも3個でいいんだ、4個はいらないんだと知った時、私は目の前の商品が何なのか見えない程泣き崩れていた。
次男は地元の大学だったが数年後の就職の時にはさっさと荷物をまとめて出て行き、三男は横浜にキャンパスを置く大学に、薬剤師をしている長女と一緒に同居すると言って出て行き・・・とあれよあれよという間に私たちの前から姿を消して行った子供達。何かツバメの巣立ちと似ている。
「子供は我が家で育て、いずれ社会にお返しするもの」と言って主人が慰めてくれた。
今、それぞれの得意な分野で羽を広げ、羽ばたいている子供達を見ては、「少しは社会のお役に立たせていただいているかな」とつぶやいている私だ。
夫婦は向き合うものではなく、一緒に同じ方向を見つめ続けるもの、と何かに書かれてあったが、気がつくと、玄関先でツバメ家族を見つめる私達は一緒に同じ方向を見つめていた。子育ても同じだったなあと思い出す。もちろん、ワンコ育ても・・
来年も無事にツバメが我が家に戻ってきますように。





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