アマンダおばさんの
♪♪
Random Diary♪♪
ランダム   ダイアリー



2021年8月
前の月 次の月
10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

 

目次に戻る


8月9日(月)

70歳の今>

先日少々鬱の状態が続いた。どんなに具合悪くとも食欲だけは落ちたことのない私が、全く食に興味がなく、無理やり食べ物を口に押し込んでいる状況で、わんこの世話をしては30分寝てまた世話をしては休む、という前代未聞の心身最悪の状態に陥った。単なる老人性のうつ病か、それとも何か特に原因があってのことかわからないまま数週間を過ごした。けれどその起因するものが何なのか徐々にわかってきた。齢70でブリーダーという仕事をしている事が果たして良いことなのかという疑問がわいたからだった。周りを見渡すと、同じくらいの年齢の知人は大概が専業主婦。誰も365日、1日たりとも休むことの出来ないハードな仕事をしている人は見当たらない。私が亡くなった後わんこが残っていたらどうしたらいいのだろうかという不安も拍車をかける。
 そうしたウツウツした毎日を過ごしていた頃、新聞の広告欄に、作家であり、大学教授の樋口恵子さんの著書「老いの福袋」が目に留まった。早速ネットで取り寄せて読んでみると、「目からうろこ」の内容ばかり。すっかり虜になってしまった。
曰く、70歳代は身体が動ける限り「働くばあさん」になること、というのだ。どんなささやかな仕事であっても仕事をする事で3つのものが得られるという。
人と接する機会が生まれる
人の役に立つ。そのために能力向上できる。
現金収入が得られる。

それぞれ別々になら得られる場はたくさんある。でも3ついっぺんに得られるのは仕事のみだ。
 そう書いてあった時、確かに仕事をすることで人と接する機会は生まれると思った。わんこを購入しに来られるお客様を通して世間というものを垣間見させていただく。陽気で明るい人、静かで穏やかな人、慎重な人、おおらかな人・・・いろいろだ。多種多様な人々に接することによってその都度勉強させていただいている。
 また、②の人の役に立つことになる・・・はワンちゃんをお譲りする事によってそのご家庭はよりハッピーになる。ある所ではお嬢さんが不登校で引きこもりだったのが、ワンちゃんを迎えて可愛がっている内に犬のトリマーになりたいと、専門学校に通うようになった、という嬉しいお手紙をいただいたり、子供が大学、就職と巣立って孤独感一杯になり夫婦にも会話がなくなってしまったが、ワンちゃんを迎える事によって笑顔が生まれ夫婦でよくおしゃべりするようになったという例があった。また子供が中学、高校で部活や塾で忙しく、家族が一同に揃うことがなくなりバラバラな生活をしていたところに、ワンちゃんが1頭増えただけで家族がリビングに集まるようになったというメールもいただいた。
それを思い出すと、少しは皆さんの役に立っているのかな、ブリーダーという仕事も悪くはないのではないかと思うようになった。
 坂東眞理子さんの「70歳のたしなみ」の著書の中で、「70代の半ばまでは社会や人の役に立つ何らかの仕事をするべき」と言っている。更に人生で最も幸福なのはいつ頃?と問われたら70代ではないだろうか、とも書いているとき、今70歳の私は人の幸せのため、人のお役に立つために働いてよいのではないないだろうか、それが幸福への道なのではないだろうかと思っている昨今だ。
この2つの本を読んだ時、それまでのウツウツした気持ちがうそのようにパーっと目の前が明るく開けた。もちろん無償ではなく有償の働きになるが、得られたお金は精一杯わんこ達のために還元したい。
 心理学的に①コンフォートゾーン(安楽な生活)、②ラーニングゾーン(少しストレスのある生活)、③パニックゾーン(ストレスが過剰の生活)に分かれるという。パニックゾーンでは病的になるので困るが、ぬるま湯のようなコンフォートゾーンの生活では人は成長しないという。②のちょっとはストレスのあるラーニングゾーンの生活のほうが人を精神的に成長させるという。
 わんこは生き物なので夜中にお産に付き合ったり、お乳の出ない母犬に代わって3時間おきにミルクを与えることもある。病気や老齢で亡くなることもある。お客様もおおらかな方がいる一方で心配性の方もいる。ブリーダーには何かとストレスがつきものだ。が、これが自分を成長させるラーニングゾーンなのだと思い知った時、できるだけ自己肯定し、ポジティヴに生きていこうと思った次第である。





*不許転載*
Copyright(C) 2001 S.Miyazawa
ページのトップに戻る
目次に戻る