アマンダおばさんの
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10月26日(火)

<プードルのT君の事>

先日犬舎のわんこ達に狂犬病のワクチンを打ってもらうため獣医さんに来てもらった。東北6県を回って犬舎の犬に注射をしてくれる獣医さんだ。
終わった後、主人が獣医さんに「うちの犬達はどうですか?」と聞くと、「お宅のわんちゃんは、清潔度は上のランクですね」と言ってくださった。日頃トリミングに出したり、主人と交代でわんこ達を洗っているお陰と嬉しくなった。
T君というシルバーのプードルがいた。T君は母犬が帝王切開で生まれた子犬だったが、悲しいことに母犬の母乳が一滴も出なかった。他に近くにお産をした犬がいなかったので弟のJ君と一緒に私の手で育てなければならなかった。「私が世話をしなければこの子達は死んでしまう」私は一大決心のもと、自分で育て始めた。母乳の代わりに犬用のミルクを3時間おきにシリンジで飲ませた。昼間は何とかなるが、夜中に目覚まし時計をかけて3時間おきに起きるのはつらい作業だった。
が、いたいけな子犬T君とJ君はごくごくと素直にミルクを飲んでくれ、何とか育ってくれた。やがて3週間も過ぎると離乳食の時期になった。ミルクと交互にドッグフードをお湯でふやかしたものをお口に入れてあげるとこれもどんどん食べてくれるようになった。T君とJ君はこうしてたくましく育っていった。
生後2か月になると、二人でじゃれあうようになり、そんな様子を目を細めて眺めていたものだった。
HPに飼い主さん募集の画像を載せるとやがて子犬を見に見学者が訪れた。T君とJ君の両方をお見せすると、一回り小さいJ君を選んで連れていかれた。
いつも一緒に遊んでいた相棒を失ったT君は少し寂しそうだった。他の子と遊ばせたが、大きさが違うせいかT君の元気が良すぎてうまく遊べない。部屋のコーナーに運動場を設けT君一人で遊ばせること3か月、私はそんなT君が不憫でならず、「ごめんね、一人ぼっちで」と言っていた。
そんなある時、ちょうど生後5か月が経っていた頃だ。県外からT君を見に来たいと電話が入ったのだ。聞くと、そのお宅には先住犬がいて、そのお友達にと考えているとのこと。その時私は嬉しさ半分、不安半分で複雑な心境になった。なぜならT君は元気良すぎて遊び半分攻撃することもあったからだ。弟とはうまくいっていたのに果たして協調性はあるのかなと心配だったのだ。
が、こちらの心配をよそに見学者のお客様はT君を気に入った様子。そのまま連れて帰られた。
どんな様子だろうとハラハラしていると、それから数日後奥さんが様子を知らせてくれた。「シルバーのワンちゃんは前から居る子の真似をするんですよ。」「散歩も最初は怖がっていましたが、前の子がいるからか慣れたらその子より前にリードを引っ張っていくくらい喜んで散歩に行くようになりました。」と言って二人仲良くしている動画を送ってくださった。私は心から「良かった!」と思った。
T君、5か月まで待っていてよかったね。新しいお家に行って幸せになったんだね。頑張って!と喜びのエールを送ったのだった。
今でも一人でぽつんとして「誰かと遊びたいよー」と言っていたT君の姿が思い出される。
ブリーダーという仕事は、世間でもいろいろと言われているが、こうしてわんこが幸せに家族の一員となり、また迎えたご家庭も幸せになっていく姿を見るのが私の生きがいになっている。
ワンコを通して少しでも人様のお役に立てれば幸いだ。





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Copyright(C) 2001 S.Miyazawa
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