アマンダおばさんの
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10月22日(日)

愛犬の死 Fちゃんの場合

 飼い主さんにとって一番の悲しみは愛犬との永遠の別れではないだろうか。それが事故であれ病気であれ、あるいは寿命であっても辛い事に変わりはない。
 スイスにお住いのOさんから,Fちゃんがお亡くなりになったとご連絡をいただいたのは5月の初めごろだった。
 Fちゃんと言えば、16年前ショップさんからの依頼でヨークシャテリアを譲ったそのお店のケースの中で生後6か月まで「売れ残っていた」子だったようだ。ショップの管理の悪さからか、あるいはアレルギー症のためか皮膚病になっていたようだ。将来に希望が持てなかった時、ケースの子が1週間後も売れ残っていたらこの子を迎えて再出発しようとOさんは考えたようだ(私の記憶によると)。Oさんに迎えられたFちゃんは専用のフードに切り替えて皮膚病は回復、その後大学の研究室からFちゃんを連れてアメリカの大学に留学された。そこで出会ったのが現在のご主人様だった。
 HPの「お客様からのメッセージ」宛て毎年近況をお伝えくださり,アメリカ在住の頃より、スイスに移住された後もFちゃんを連れてヨーロッパ各地を訪ね歩いた写真は数えきれない。Oさんは生前愛して止まなかったFちゃんと同じ血を継いだヨーキーを希望されていた。全く違う血筋より少しでも共通の因子が入った子をと願うのは当然の事だろう。
 ところで、ヨーロッパ(スイス)は断尾や狼瘡のカットが認められていない。もちろん断耳もそう、動物の虐待に当たるという訳だ。普通日本では生後1週間目の感覚がさほど敏感でない時期に断尾をする。なので、Oさんは生まれたばかりで断尾や狼瘡を切っていない子の中から新たな子を選ばなければなかった。従って目が未だあいていない頃にこの子を、と言ってご予約をしてくださった。なぜなら目が開くころにはもう断尾の時期は過ぎているからだ。お顔がわからないうちから子犬を選ぶのは勇気のいることだったことと思う。が、私を信じて選んでくださったことがとても嬉しく思わせていただいた。
 狂犬病やマイクロチップを入れたり検疫のための書類や証明書を準備したりとワンコの輸出はいつの時代も手間がかかる。が、O様が全て英語のフォーマットをご自分で満たしてくれ、私と主人は動物病院に行くだけの手間いらずとなった。お迎えも、医学研究者であるイギリス人のご主人の講演に 合わせて、ご主人様とご一緒の来日となった。 
 電話やメールでのやり取りで大方のお人柄は想像できていたが、実際にお会いしてみると予想以上に美人さんで可愛い性格の方だと知った。9月末のお引渡しまで何通のメールのやり取りをしただろうか。だが共通していたことはO様がとても素直で前向きな楽観主義者だと言う事だった。ご自身も医学の研究員であるからだろうか、データに誠実で正確でなければならない性分なのだろう、やることが皆きちんとしている。アバウトな私とは真逆の性格だ。
 義理堅く、恩を忘れず、よく気が付く・・・現代の日本人より日本的な、と言っても良いくらいだ。海外に居て、異邦人として苦労して来られた所以なのではないかと想像した。「この子がFちゃんと同じ血を持つLちゃんです!」と言ってお手渡しすると、Lちゃんを抱きしめて声をあげて泣いておられたO様。どれだけFちゃんを愛していたかがよくわかった。O様とご主人の歴史にいつもFちゃんが寄り添っていた。旅行さえいつも一緒だったのだ。

 Lちゃんは予定通り、O様とともに14時間の空の旅を経て、無事居を構えているスイスのバーゼルに引き取られていった。今頃は亡きFちゃんの妹分としてご夫婦の寵愛を目いっぱい受けている事だろう。享年16歳のFちゃんのご冥福を祈るとともに、Lちゃんの新たな門出をお祝いしたい。

 



 

 

 

 

*<参照>Fちゃんの様子は「お客様からのメッセージ」をご覧ください。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~amanda/messerolos.html




*不許転載*
Copyright(C) 2001 S.Miyazawa
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